サックスプレーヤーフルート奏者菊地康正

サックスプレーヤーであり、フルート奏者でもある(KOSE)こと菊地康正の公式ホームページにようこそ。音楽を楽しみたい方のためにサックス道場、フルート道場も主催しています。

菊地康正のサックス入門  vol.3

前回までのおさらい
今月の本題,water melonman
water melonman 解説
Autumn leaves
Autumn leaves 解説
菊地康正のサックス入門  vol.4


  今日は菊地です。このページはアルソ出 版社から刊行されているサックスレッスン誌”the sax”と連動しています。この本の読者は、この前のパーティの 時に見せてもらったアンケートはがきによると圧倒的に中学高校生が多 いようですね?そのパーティというのは・・・・この雑誌”The sax"が予想を上回る反響で売れ行きも良く、年に2回くら い出せればといっていたのが、どんどん出している状況なんですね?素 晴らしい!!なかなかやりますね?

 アルソ出版、そして豊田編集長!そ してその記念パーティで、普段お目にかかれないクラシック畑の先生た ちや若手奏者、楽器輸入業者、ナベサダさんにも久しぶりでお会いした のでした。(楽しかった〜〜!)この講座は、一応年輩者向けという企 画でお題を頂いていますが、年輩者のみなさんのみならず、中学高校生 など若い人にも、クラシックとはまたちがうジャズ・ポピュラーのサッ クスの世界の入り口になればと願っているのです。雑誌でフォロウでき ないところをこのページで解説したいと思います。

 3回目のこの講座の内容は、前回約束したとおり実際の曲の アーティキュレーションの付け方です。アーティキュレーションとは、 音符を実際にどう表現するのか、音の切り方、伸ばし方などのことです 。その前にいつものように前回までのおさらいをざっとやってみること にしましょう。
先月までのおさらい
1.呼吸法

 もう何回もやっていますが、まず胸を広げる。それからお腹 に息を入れ力を入れて、音を出すときは常に下腹を外側(前後左右)に 張り出すように圧力をかけるようにします。やってはいけないのは、音 を出すときに肩が動く、胸がすぼんで行く、お腹がすぼんで行く・・・ などでそれはやり方が間違っています。

2.ファットリップ奏法

 これは先月詳しく解説したので省略しますが、唇のリードに あたる面積を広くし、梅干しを作り、口の中、のどをなるべく広げて豊 かな音を出す奏法です。音域によって「ウ」、「オ」、「イ」などと口 中の形を変えて行きます。タンギングとの関係も先回詳しく見ましたね ?
今月の本題

実際の曲のアーティキュレーションの付け方

今月は実際の曲のアーティキュレーションの付け方の例として "Watermelon Man"そして、"Autumn leaves" を取 り上げることにします。この2曲は世界のジャズ学習者が使っている練 習用マイナスワン(伴奏のみの音源と楽譜のセット)Jamey Aebersold の play-a-long series vol.54,初心者用曲集にはいっていますので是 非購入して伴奏を付けて練習してみて下さい。全国の有名楽器店で購入 可能です。

 "Watermelon Man"はハービー・ハンコック(p)の 初期の作品で、スイカ売りの男のスイカを担ぎながら売り歩くユーモラ スな歩き方を想像しながら演奏しましょう。数年前にクラブシーンでジ ャズファンクの名曲としてリバイバルした"Cantaloupe Island" も同じ作者です。まず譜面を見ながら聞いてみま しょう。音を聞くにはここ water melonman をクリ ック。






 では詳しく見ていくことにしましょう。A の1の出だしの C ははっきりとタンギングした上でクレッシェンドをか けます。Aの2の8分音符は、テヌートとスタッカートの組み合わせに なります。



ダダッダダッッダーと歌ってか らはっきりとメリハリをつけて吹きましょう。特に4拍目の裏の D は、次の小節の一拍のアクセントを先取りしたものなのではっ きりと強く吹く必要があります。(こういう拍子のアクセントの先取り をアンティシペーションと呼びますので記憶しておいて下さい)

Aの9〜10ではやはりテヌートとスタッカートの組み合 わせに注意して吹いて下さい。ウンダダッダーダー|ダダダダダーダッ …という感じですね。バックのリズムを聞いて、スイカ売りの男のユー モラスな動きを想像してみましょう。

@コーラス目の3小節目から4小節目、7小節目から8 小節目のところもさっき述べたアンティシペーションになっています。 はっきりと強く吹いて下さい。9.10小節目も三拍目についているア クセントを先取りしていますので同様です。13小節目では8分音符は スラーがついていますのでなめらかにしかも均等なタイミングになるよ うに演奏します。

Aコーラス目、1小節目から3小節目にかけては4分音符が連 続しますが、すべて、テヌートになっています。先に述べたようにスラ ーがかかっているようになめらかに、しかし一つ一つの音ははっきりタ ンギングするようにします。3小節目ではアンティシペーションに当た る4拍目の裏を強く吹いて下さい。また、軽くダイナミクスも付けてみ ましょう。

 6小節目では、4分音符が、テヌートの場所とスタッカート の場所をはっきり区別、4拍目の裏は強く吹いて下さい。7小節目では 8分音符のアーキュレーションを正確に演奏しましょう。タタラターと いう風に。9〜10小節目あたりでだいぶリズムが難しくなってきます 。バックのリズムを聞いてうまく乗るようにしてください。11小節目 ですが、後半のシンコペーションの歌い方が何とおりかあります。タ ッターター(スタッカート、テヌート、アクセント)という方法(左) を取ることにしましょう。(ラテン、ロック風)
もう一つのやり方はタダッター(テヌート、スタッカート、ア クセント)という方法です。これは良く4ビートの時に使われます。( ジャズ風)


また、この曲のようなフィーリングをブルースといいます。ブ ルースには特有の音階とコード進行があって、通常は12小節の形式が 多いのですがこの曲は16小節の変形ブルースとなっています。また欄 外にブルース特有の音階、Blue note scale, あるいは Blues scale と 呼ばれる音階を書いておきますので、ゆっくりと上がって下がって味わ ってみて下さい。



2曲目は、"Autumn leaves"です 。この曲も元々はフランスのセンチなシャンソンですが、マイ ルス・デイビスなど著名ジャズミュージシャンが多く取り上げている曲 です。今度は4ビートですので8分音符は三連音符で弾んで演奏して下 さい。また4分音符のスタッカートは、良く吹奏楽やクラシック奏者が やるような切り気味のそれではなく、8分音符にテヌートを付けたくら いの長さです。また体を揺らすように動かして、swing と呼ばれるリ ズムの感じ方をする必要があるのですが、これは紙上での説明は難しい ので、なるべくうまい、ピアノ、ベース、ドラムの人と演奏する機会を 見つけて体で体得して欲しいと思います。音を聞くにはここ Autumun laves をクリック 。






swingの乗り方のコツは俗に裏を感じて吹け と言うのですが、これは8分音符の裏を意識しながら演奏しろと いうことです。たとえば、出だし左のフレーズですが、付点4分音符は 、ンタアア、と歌います。右参照。


特に三つ目の8分音符を強く吹く気持ちで吹くとスィング感を 感じながら吹けます。(これは結構有効なコツですぞ!!)Bの1のア ーティキュレーションはタタラッター と歌って正確に吹きましょ う。タタタッターと吹いてしまった君、それは間違いだよ!!
 また、この後、いたるところにアンティシペーションが出て きます。たとえば、3の2拍目の裏、6の4拍目の裏、Cの1の4拍目 の裏、などなど・・リズムを取るとき腰から下の動きを使ってスィング 感を出して吹いて欲しいと思います。(リズムを取るときの腰の使い方 など、詳しくは私の著書 Play the alto saxを参照されたい)

1−3のも最後の8分音符はアンティシペ
ーションですのでとどめを刺す気持ちで強く吹く必要がありま す!?このタイプのアクセントを表現するのにという記号を使います。意味は強く短くです。

4−13−14では、6度音程のフレージングをしています。 とても柔らかい響きが特徴です。さてどうでしょうか?ざっと注意点を 並べてみましたが、やはり呼吸法、フアットリップ、そしてタンギング の基礎的な力が要求されると思うので、こつこつ練習するしかありませ ん。では次回は、音階、コードについて少し勉強して、簡単なアドリブ (即興演奏)に挑戦だぁ!!

この講座の内容についてさらに詳しく知りたい方は私の著書、”Play the Alto sax、Play the jazz sax”(中央アート出版社刊)をご覧下さい。

参考文献(いずれもCDブックです):play-a-long series vol.54 /Jamey Aebersold jazz inc/Jamey Aebersold 、Play the alto sax、Play the jazz sax/中央アート社刊/菊地康正著