サックスプレーヤーフルート奏者菊地康正

サックスプレーヤーであり、フルート奏者でもある(KOSE)こと菊地康正の公式ホームページにようこそ。音楽を楽しみたい方のためにサックス道場、フルート道場も主催しています。

菊地康正のサックス入門  vol.5


朝日のようにさわやかに、解説
朝日のようにさわやかに
朝日のようにさわやかに、練習法
黒いオルフェ
黒いオルフェ、解説、練習法
菊地康正のサックス入門  vol.6


 今日は菊地です。 サックス超入門の第5回目です。いつも10代の方のウェブへの書き込みが多いので嬉しく思っています。何でも質問してください。(問い合わせ先は末尾をご覧下さい)
今回は前回に引き続き、アドリブ(即興演奏)に挑戦その2です。主に今度はマイナーキー、マイナースケールについて触れてみます。少しだけ難しいかも知れませんが、かっこいいサウンドになるので挑戦してみましょう。

マイナーキー

 さて今回は、ジャズのスタンダードで、「朝日のようにさわやかに」そしてボサノバの名曲「黒いオルフェ」に取り組んで見ることにします。前回と同様に、ある程度の基本的な演奏力はあるという前提で話を進めていきます。ある程度の基本的な演奏力とは、正しい呼吸法、正しいアンブシュア、正しいタンギングで、簡単なキーの音階、分散和音が吹ける…というレベルを想定しています。前々回までに、呼吸法、ファットリップ奏法、そしてアーティキュレイションの付け方については研究していますので、詳しくはバックナンバー、もしくは同じ内容を私のWebで勉強してください。今までに取り上げた Watermelon man,Autumn leaves, When the saints go marchin' in,そしてFly me to the moonはうまく演奏できますか?
 私の教室では、即興演奏に便利な「移動ド読み」を推奨していますが、現在は出来ない人も多く、固定読みの人も多いと思われるので、今回は触れないことのします。

朝日のようにさわやかに(Softly, As In A Morning Sunrise )

1928年というと今から80年近くも前にOscar Hammerstein 2nd の作詞、Sigmund Romberg によって作曲されたこの曲は実にいろいろな人に演奏されて今でも愛され続けています。ちょっと思いつくだけででも、ソニー・ロリンズのビレッジバンガードのライブ、ジョン・コルトレーンのやはりビレッジバンガードのライブ、スタン・ゲッツの遺作ともいえるピープルタイムでの名演が思い起こされます。(CD情報は末尾をご覧下さい)歌詞は大意は以下のようなものですが、さわやかな曲調とは裏腹に、深い人生への洞察が感じ取れます。良く味わってみましょう。

朝日が静かに昇るように/

恋の光は新しい一日の始まりに/

そっと忍び込んでくる/

燃えるくちづけは愛の誓いのしるし/

そして誓いはきっと裏切られる/

天にも昇る恋の情熱は/

人を地獄へと突き落とす/

そうして、それぞれの物語は終わる/

輝きに満ちていた恋の光は/

静かに沈む夕日のように/

そっと、すべてを奪い去って行く・・・・








楽譜をみてください。楽譜の上に書いてある、コードネームに少し慣れましたか?この記号で和音のすべての音を指定しているのです。例えばAmと書いてあったら、読み方はエーマイナー、音はラドミです。この楽譜の最後「chord」にその構成音を立て積みに書いてあります。また誤解の無いようにいっておくと、ラドミだったらどの音域の音を演奏してもいいし、どういう順番で演奏してもかまいません(重要)。コードネームについて詳しくはいろいろ市販本も出ていますので各自研究してください。この曲に使われる六つのコードの構成音をすべてドレミで書き出してみましょう。

Am(Aマイナー)・・・ラドミ

E7(Eセブン)・・・・ミソ#シレ

C(Cメージャー)・・・ドミソ

A7(Aセブン)・・・・ラド#ミソ(ド#はドを半音上げた音)

Dm7(Dマイナーセブン)・・・・レファラド

B7(B マイナーセブン)・・・シレ#ファ#ラ

 前回と同様にまずこれらのコードを、ピアノ(キーボード、ギターなども可)を弾いて、1個1個の音を歌って音の高さを記憶するようにしてください。またその響きを味わうようにしてください。
音の高さを正確に歌えない、音の高さを記憶できない…という症状の方は、声楽の教科書コールユーブンゲンなどを使って、ソルヘージュのレッスンをすることをおすすめします。

 ではこの曲を練習してみましょう。練習する手順は前回同様に、

@ドレミで音程をつけてこの曲をまず歌ってみます。

Aよどみなく歌えたら、今度は楽器をもって指をつけながら歌ってみます。ドレミと指が合っているかどうかようく確認してください。

Bドレミと指がぴったり一致したら、楽器を吹き始めます。

C最初はアーティキュレイションは気にしなくていいですが、その通りの音をきちんと吹けるようになったら、スタッカート、テヌートなどのアーティキュレイションを正確につけるように練習しましょう。

今月は8分音符のウラ打ちという技法が出てきますが、これを上手にやると本当にジャズに聞こえてくるから不思議です。
テーマA〜Cが吹けるようになったら、D〜Fも注意深く練習してみましょう。テクニック的にはそんなに難しいわけではありません。それよりも前回同様に楽譜の最後「chord」の部分を参照して、コードの構成音がどのようにメロディーに使われているか研究してみるとともに、今回はマイナーキー、マイナースケールについて少し説明をしてみましょうか。

日本語では、音楽の授業で、長調(Major )、短調(Minor )という風に習っていると思います。何が違うかというと、簡単に言うと、明るいか暗いかと言うことでしょう。つまり、

長調(Major )=ドレミファソラシド

短調(Minor )=ラシドレミファソラ


ということです。正確には、
ラシドレミファソラは自然的短音階(Natural minor)であり、その改良型として
ラシドレミファソ#ラ和声的(Harmonic)及び、
ラシドレミファソ#ラ#旋律的(melodic)が有ります。

コードから見てみると、E 〜Hのソ#が登場している場所に注目してみてください。必ず、E7になっているのがわかります。少し専門的な言い方をするとマイナーキーのドミナント(主音、ここではAより5度上にある音すなわちE音)のコードの時は自然的短音階(Natural minor)にソ#が出てこないために、音階を変更したのです。その特定のコード(和声)を作るために音を変更したので和声的短音階(Harmonic Minor )と呼ばれているのですね?
また。アーティキュレイションについても十分気を付けて練習してみてください。8分音符については、ジャズ吹きは基本的にはウラ打ちといって、タタラタラタラタという風にやります。









今月の2曲目ボサノバの名曲「黒いオルフェ」正確には、それは1958年のブラジル映画のタイトルで、本当の曲名は、"Manha de Carnaval" (Morning of Carnivalカーニバルの朝) です。ボサノバの立て役者 Antonio Carlos Jobim が曲を作り、Luis Bonfa の歌とギターで演奏され、映画のサントラは世界中で百万枚ものヒットになったそうです。その切ないメロディは今の人の心を打ち続けます。私のCDブック「Play the jazz sax」にも収録されています。

 2曲目も練習の手順は、さっきと同じですので説明は省略。
「Chord and scale 」を見てください。この曲に使われるコードは、8種類です。良く研究してみましょう。
さてテーマが吹けるようになったら、C以降を練習しますが、朝日〜と違ってスィングではないので、8分音符は均等に平たく吹いてください。つまり弾まないでということ。
アーティキュレイションは朝日〜と同様に、ウラ打ち(タタラタラタラタ)が基本ですが、Dの3小節目のようにオモテ打ち(タラタラター)の場合もありますので、十分気を付けて練習してください。
コード、スケールにに関しては、C以降で、C#の音が登場する場所に注目しましょう。コードが必ずA7になっているのに気が付きます。(Dの1小節目を除く)音階(スケール)はD和声的短音階(Harmonic Minor )になります。

今回の講座の内容は、ガクンとレベルが上っていて練習が大変かと思いますが、頑張ってやってみましょう。 この講座の内容についてさらに詳しく知りたい方は私の著書、”Play the Alto sax、Play the jazz sax”(中央アート出版社刊)をご覧下さい。

参考文献(いずれもCDブックです):play-a-long series vol.54 /Jamey Aebersold jazz inc/Jamey Aebersold 、Play the alto sax、Play the jazz sax/中央アート社刊/菊地康正著