菊地康正のサックス・フルート道場

2008/7/26 夏のジャムセッションは盛況の内に終了しました。






後列左より、片岡健二師範代(ts)、出口 誠(p)、荒尾茂之(ts)、長妻 優一(ts)、佐々木尊英(fl)、菅原正宣(b)、里ヒロミ(灯露美)(vocal)、江尻正人(as)、百瀬大樹(drs)、

中列左より、Mrs.Funai、小林祐子(fl)、熊川 暢子師範代(as)、小林信弘(as)、森 慶一郎(as)、稲津邦夫(as)、大西豊(as)、宮沢 長揚(as)、土井基義(as)

前列左より、久保崎泰隆師範代(as)、西村知子(会計)、増田和人(ts)、菊地康正(ts,fl)、井上 誠(as)、鈴木賢三(ts)、日比 喜博(as)、石井たかし(as)



過去のセッションの記録はこちらでご覧になれます。


夏のセッション講評 菊地康正




講評のポイントは、まず、基本の

1.楽器の音質は美しいか今ひとつか、雑音に近いか?、

2.チューニングは合っているか、今ひとつ調子外れか、

3.楽曲をきちんと譜面通り、譜割り通りリズムに乗って吹いたか?勘違いしてずれてしまったか?

4.アーティキュレイション(タンギング、スラー)、ダイナミクスなどの処理はどうか、感動的か、機械的か?

素晴らしい?退屈か?(表現上の問題)


5.上級者は、アドリブの内容が音楽的で芸術的であるか?フレーズ同士に関連性があり、意味のある音楽になっているか?、

単調なまたは無意味な音の羅列であるのか・・


 等の観点から、どうしたら、少しでも向上できるかという視点で講評しています。良いところは率直に認め、改善した方がよい点に関しては、

一部かなり突っ込んだ表現、厳しい表現の所も有るかと思います。そう言う場合は、向上の見込みがあるので、そう言う助言がもらえたと思って

頂ければ有りがたいです。





1.Take the A train

大西豊(as)、鈴木賢三(ts)

 鈴木賢三君は、努力の甲斐あって、腹式が以前よりは良くなってきているし、音も向上している。ソロの創作にも興味があり、分散和音の

作ったソロを吹いてくれた。せっかくご機嫌にスィングするリズムセクションとやっているので、シンコペ−ションや、もう少し工夫しても良かっ

た。もしかしたらもう1コーラスはアドリブしたかった気配があるね?大西君に出られてしまったようだ。

 大西豊君は、いつも、課題を決めて必ず練習してくる人。自分でここまでやったという達成感がないと満足できない人なのだろう。音は

良いのだが、ヴィブラートが早すぎるのは、今後の課題にしておこう。

 フレージングに関しては、研究もしているし、練習しているので、テクニックもそれなりにあり、後は、フレーズに合ったダイナミクス、

それにスィングすることを覚えたら良いだろう。



2.Softly as in a morning sunrise

石井たかし(as)、土井基義(as)、日比 喜博(as)


このセッションでは、リハーサルが無いのでさぐり吹きになるのはしょうがないが、イントロは良く聞けばここで出るのだという場所はわ

かるものである。自信を持って出て欲しい。三人とも音は良く、ユニゾンが合っているのは奇跡的。普通、コンボでは、メロディのユニゾン

はやらないので、振り分けて吹いた方が、それぞれの表現の見せ場があると思う。

土井基義君は、音も太く、落っこちることもなく、堂々たる吹きっぷりで、このセッションでかなり自信がついたのではないだろうか?

立派でした。スラーの奏法は良いのでテヌートがもっと長く吹けるよう勉強しましょう。他の人のソロの時は、練習しないで、聞いて

あげてください。
石井君は、入り損なって、入った場所は全くずれていた、熊川師範代の助けで何とかリカバーしたが、良く聞いて自力でリカバーして

欲しい。ともあれ元に戻れて良かった。音やアーティキュレイションは悪くなが。

さて、名古屋から参加した日比さんは、この日の台風の目だった。DVDだとあまり解らないが、まず音色の素晴らしいこと。私も以前

使っていたことのあるビーチラーのメタルは、ラバーのように柔らかくもあり、メタルの鋭さも併せ持ったマウスピースで、まずその音

の良さで、東京横浜の生徒の皆さんも度肝を抜かれたことだろう。ソロの内容は、今回はコピーを再構成したもののようだが、ストー

リーもあり、クライマックスもちゃんとあり、聞いている人は大満足だったろう。素晴らしい。


3.More

江尻正人(as) ,熊川 暢子(as)師範代
江尻君の、演奏は音も良く、楽曲はきちんと吹けているし、難しいソロもほぼちゃんと吹けていた。一部の臨時記号が落ち

ていたのを除けば。だが、出だしが、舞い上がったのか入れなかったのが残念。聞く力を付けていこう。熊川 暢子師範代

の演奏は、生き生きとアドリブの感じが出ていて好感。ガイドトーンラインもちゃんとマスターして居るぞとお手本的演奏。

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4.Five spot after dark
穂積信道(fl)、森 慶一郎(as)、船井由美(as)
穂積さんのテーマは、長い音を待ちきれずに先を急いでしまって、結果としてずれて迷子状態になってしまっていた。ビデオで

ベテランの他の二人が、何とかしようと手を差し伸べて居るのがわかる。その後のレッスンで、きちんとリズム通り待つと言う

ことを勉強中。奏法と音はかなり良くなっている。研鑽の結果ですね?素晴らしい。

船井さん(as)、もう歴戦のベテランです。前回のバラードの素晴らしさも記憶に新たらしいが、このソロ何回か繰り返して

聞いてみたが、どこへ行こうとしているのかがよく解らない。いいフレーズが出てくるのだが、それを繰り返さないので、ま

た次のフレーズに移行してしまうので、印象に残らないのだ。もっと自分の出したフレーズに愛着を持って頂きたい。それを

何回か繰り返すのと、それを味わう時間をお客さんに与えて欲しい。つまりもっと自分のフレーズに自信を持って、自分も


お客さんと一緒に味わって勇気を持って空白を入れて欲しい。


森 慶一郎(as) は、とっくに卒業しているが、セッションだけは必ず参加している菊地道場の名物男である。今回は?
楽器が強力に鳴っているのはいい。しゃくりが過剰な気もするが、歌っていると言えばそうだろう。コード感も粗いけど、

まあどこをやっているかは解る。ただ、ずっと音を伸ばしっぱなしでずっと何かをやっている気がするのは、せっかくのリ

ズムセクションにも見せ場を作ってやりたいと思う。息が長いのは良いので、ブレスをたっぷり取ったらどうだろう?
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5.Lullabye of Birdland


石井たかし(as)、稲津邦夫(as)、増田和人(ts)
 三人の力演に拍手を送ると共に、ジャズはダンス音楽であることを知らせたい。一生懸命譜面を読んで演奏してい

るのは解るが、スィングとは体を揺らすことなのだ。(笑)
 石井たかしくんのしっかりした音と、上達ぶりは素晴らしいが、本番では♭の音などが落ちてしまうので、半音階の

練習が必要だろう。
 稲津邦夫さんは、セッション、発表会参加確か4回目にして、今回は初めてずれないで(落っこちないで)最後まで吹

ききると言う快挙だ。おめでとう御座います。後は、アーティキュレイションの問題。他にもそういう人は多いが、音をお

腹で切ってしまっているという根本問題。改善には、もう一度初心に戻る勇気が必要だと思われるが、きっとやってく

れるだろう。スタッカートでも、裏打ちでも、お腹はずっと圧をキープして、舌先だけで作るのである。後は2拍3連が、

さっぱりそうは聞こえないのも課題だろう。
 増田和人君は、千葉の遠い町から毎月通学ご苦労様です。甲斐あって、音もリズムもしっかりしてきたが、テーマのさ

び後で、1拍ずれたままで吹ききったのは、立派と言えば立派だが、残念でもある。稲津さんの例もあるので、次回は

ずれないで完奏を期待します。これは、バックのコード進行を聴けるかどうかにかかっている。自分の音の他に同時に

バックのコード進行を聞くのは大変だが、修行していこう。稲津さん、リーダーは、ずれた人を助けてあげても良いんですよ。
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6.Copycat
小林祐子(fl)さんは、初心者から始めて、セッション、発表会は2回見学の後に、今回初出場となったが堂々たる演奏に、

亀のようにゆっくりと歩く彼女を見守ってきた身としては感無量であった。考えてきたアドリブソロも立派。セッションリーダーの

佐々木尊英(fl)君には悪かったが、彼女のソロはお休みにしてもらった。さて佐々木君は、サックスで8年以上学んで、中級

も終了した上でフルートに挑戦、また1年ちょっととは思えない上達ぶりは目をみはらさられる。
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7.If I should lose you

小林信弘(as)、井上 誠(as)、江尻正人(as)

テーマは江尻君だが、この曲はアウフタクトといって、引っかけで入る曲なのだ。いつものレッスンでは、1,2,3,4,1で

入ってもらっているので、アウフタクトと言う概念を伝えていなかったのがわかった。その後のレッスンで、引っかけで入る

練習はしているが、もう1小節早く入って欲しいところだ。うまく合わせてくれたリズムセクションに感謝だ。テーマは何とか

吹けているが、ソロで舞い上がってしまったのか、しどろもどろになってしまったのは残念。いつもやっている移動読みは、

身に付いていないようだった。

 井上 誠君のソロは音もしっかりしており、正確に吹いているのは好感が持てた。やはりアメリカでもジャムセッションに参加

するなど、経験がそれなりに自信を付けたのだろう。
 注目はチャーリーこと、小林信弘君の演奏、チューニングとしゃくりの癖は、こんごの課題としたい所だが、ソロには見るべき

ものがある。それは、湧き上がるメロディ、つまり感情が吹き上がってきているのが感じられる。まだ個々のコードを追いかけ

るにはもっと修行が必要だが、少なくとも、3回の転調はなんとか理解してそれらしく吹けたのは良かった。
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8 Fly me to the moon

土井基義(as)、熊川 暢子(as)

土井君は、この日はこの曲も堂々と吹いてくれた。音色、音程とも文句なし、熊川も徐々に調子が出て好演。
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9 Amazing grace

佐々木尊英(fl)、小林祐子(fl)、穂積信道(fl)
佐々木君は、菊地道場には10年通ってくれました。ここに感謝の意を表したいと思います。驚くべきは、フルートに持

ち替えて1年少しなのに、楽器が鳴ってきたこと。小林祐子さんも腹式と、アンブシュァがつかめず苦労したが、こんなに音

が出て合奏が出来るようになるなんて感激しています。穂積さんもこの曲は落っこちないできちんと吹いてくれました。
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10 Blue bossa
荒尾茂之(ts)、鈴木賢三(ts)、川村芳子(ts)、小林信弘(as)、
荒尾君は、昨年も一緒にニューヨークへ行き、音楽に熱心な人。ソロも作る、最近は作曲作品も聞かせてもらったし、

池袋マイルスカフェのセッションにも顔を出しているようだ。その成果が充分感じられるソロだった。音もチューニングも

良く、転調もちゃんと理解、歌うフレーズを吹いてくれた。もっといける人なので今後が楽しみ。
鈴木君は、音もチューニングも良かったが、転調した先は♭が一つ足りなかったようだ。♭をいくつ付けるかという認識

ではなく、何というキーに行ったかと認識するようにしましょう。川村芳子さんのソロはこの日の出色のできのひとつであ

ろう。ちゃんと考えて書いてきたソロだそうだが、内容が良く聴き応えがあった。面白いリズムパターンは衆耳を釘付け

にした(笑)。
小林(チャーリー)のソロは、やはり、ライブやレコードを長く聞いてきた人だけあって、倍テンにしたり、細かい譜割りなどを

示唆したりセッション慣れしているのは感じられる。メロディを歌う衝動に駆られて演奏しているのが伝わってくるのは素晴

らしい。残念なのは転調をちゃんとやっていないこと、アィデアは良くても、コードに合っていなくても、キーが合って

いなければインチキに聞こえてしまうのだ。インチキはもうしないと約束したはずなのに・・・
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11 Summer time

穂積信道(fl)、久保崎泰隆(fl)

他の曲でも書いたが、穂積さんの場合は、テーマだけでも何とかずれないで吹いて欲しかったのだが、残念ながらそこま

で行けなかった。だが、奏法も良くなり、音は太くなり、素晴らしい楽器を購入し、今まで考えたこともなかった移動読みも

概念が理解できて、練習が始まった所であり、リズム読みや、ヴィブラートなど表現、アドリブにも挑戦したいと意欲満々

なので、次回にはいい音でテーマをずれないで吹くことを目標に頑張って欲しいと思う。
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12 I love you
船井由美(as)、稲津邦夫(as)、日比 喜博(as)、片岡健二師範代(ts)

稲津邦夫さんは、テーマと教材書きソロを見事に吹ききっていましたね?後の問題点は、Lullabye of Birdland と同じ

くアーティキュレイションだけだ。今日の注目の日比さんだが、録音でも音の良さが伝わってくる。まだレッスン開始し

て半年少しだと思うが、咽(のど)の広げ方とか、呼吸法、音色の作り方など、レッスンで学んだことを忠実にやって

いる気がする。ソロの内容も立派でした。D→F#に転調して、Dにもどるのが少し早かったようです。
船井さんは、今回はテナーサックスで参戦。この人はテナーの方が合っているのではないだろうか?音色も音程も

申し分ないしどこをやっているかをちゃんと意識して吹いている。たださっきの曲もそうだったが、何を言いたいのか

どこへ行きたいのかさっぱり解らないソロだった。ソロ創作に立ち戻って勉強し直して欲しいと思う。

片岡師範代は、ロック出身だけあって、リズムの鋭さ、ラプソディックナ歌い方、ディレイ(遅く)したり、ジャズ独特の

色々な乗りはつかんできているのは流石と思った。さて一番大事なコードの流れが感じられる音使いは、現在猛

勉強中なので、近い内そう言うソロも聴かせてくれることだろう。音が魅力的になってきている。
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13 Autumn Leaves
川村芳子(ts)、長妻 優一(ts)、大西豊(as)、宮沢 長揚(as)、森 慶一郎(as)

川村さんと、長妻君のテーマは、それらしく聞こえるが、この曲は枯れ葉である。もう少し侘びしい感じが出るには

どうしたらいいのだろう?と考えてみて欲しい。ダイナミクスを付ける?ヴィブラート?もう少し工夫が欲しいところ。
大西君のソロは、今までの勉強の成果が出ていろいろなアプローチを試みている。音も良いし、チューニング他も大

丈夫、コード進行上のどこをやっているかを聞く耳もあり、創造力も有る。でも全体として単調に聞こえるのは何故な

のだろう?まず音域、オクターブキーを話した音域はほとんど使っていないし、音量が最初から最後までほぼ同じな

ので、フレーズは色々とやっているのだが、変化したようになかなか聞こえないのである。音の表現方というもの

に課題を設定してください。

川村さんのソロも、練り上げられた、頭を絞って書いた書きソロを堂々と吹ききってくれました。群馬県からの通学も

ご苦労様です。フレーズの面白さ、センスも悪くないので、ドミナント進行などコード進行を勉強していけば、もっと魅

力的なソロも作れるし吹ける人だと思います。

宮沢 長揚(as)君も、この日は受けていたね?じっくりDVDを聞いてみると、楽器の音、チューニングはよい、ま

だコード通り吹けるわけではないのだが、アィデアが面白い。同じ音をタンギングで、トゥトゥトゥトゥトゥ・・とやっ

てみたり、ロングトーンで、2小節けてクレッッシェンドしたりと、演出的演奏のうまい人、拍手は一番多く来ていた。
さて、森君だが、最初の8小節できれいにコードどおり吹いてみせて、これは何かやってくれると身を乗り出して聞

いていたが・・後半は、あまりコードに関係ない指癖的音使いで、さあ、そのおとはコードのどの音に当たるのだろ

うと聞いていたが、結論はあまりコードを考えて吹いていないようだった。残念。

長妻くんは、音も良く、フレーズも考えたことを吹いていたようだが、一度コード通りの音を並べるところから始めてみ

よう。その場で考えてしかもコードに合った音を吹くにはもっと修行が必要だろう。




過去のセッションの記録はこちらでご覧になれます。
最終更新日2014/10/10