菊地康正サックス・フルート道場2011/2/5発表会

アルバム、動画、講評ページ

●2011/2/5東京横浜教室 冬の発表会セッションは無事終了しました。

下記はその記録、 動画、アルバム、講評です。


過去のセッションの記録はこちらでご覧になれます。



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菊地康正です。2011/2/5道場発表会の講評を発表します。今回は、

いつに増して熱意と、創意工夫が感じられた発表会でした。参加者全員が、

必ず前回より向上していて驚きました。

 世の中には色々な音楽学校が存在します。音楽大学もあれば、×●△

音楽教室もあります。菊地康正サックス、フルート道場も、いろいろな素養

経歴の人を受け入れ、サックス、フルートの演奏法、ジャズのアドリブを教え

ています。音を即興的に出してそれを楽しむってなんて楽しいんでしょうか?

同時に、なんて難しいんでしょうか?

 想像してみて下さい。それを教えるのは更に更に難しいのです。もちろん

学ぶ方も大変です・・・だからこうして道場に通われている皆さんには、我

が道場を選んで頂いたと、その慧眼に尊敬と感謝の念をいつも忘れないよ

うにしているつもりなのです。

 だから、素晴らしい所は賞賛し、更にこうした方が良いと思うところは

忌憚なく指摘しています。批評にあることは、自分にはそう言う可能性

があるんだと奮い立ってくれたら嬉しく思います。

音楽は、音を楽しむと書きます。もちろん、世の中には色々な素晴らしい

音楽が存在しますし、名曲、美しい感動するメロディを譜面通り吹いても

それはそれで良いと思いますが、それでは飽き足らない、自分で考えた

メロディを吹きたいというのがこの道場の皆さんです。

 我々には、音楽の構造を勉強して、それを即興的に表現するという

目標があります。今回の発表会セッションでは、初心者から、かなりの

経験者、プロレベルに近い人も参加しています。あらゆるレベルの方を

それなりに向上させなければいけないという責任もいっそう感じました。

また特に、我々日本人には、真面目さ、誠実さは充分ある反面、真面目

すぎて、欠けているユーモア、ウイットの精神を表現してくれと常々言っ

ているのですが、他の曲の引用等で、おっと思わせる人、にやりと

させるが多いのには感心しました。



●セッション1

1.Softy as in a Mornng Sunrise


 西川 康子さん(as)、いつも千葉から参加有り難う。今回は考え抜いたソロを延々と吹いてくれました。まず音と音程は格段に良くなって

いますね?タンギングもはっきりしてきた。書いてきたソロの内容も良かったです。また見えなかったけど、ネイル(爪)、スカート、靴なども

工夫してドレスアップしてステージは非日常空間であり、見た目も大事という自覚が出てきたのは良いことでした。

 豊吉 宗寛(ts)くんも、マイナースケールがちゃんと感じられたのと、サビの3小節目で、6度セブンの♭9度の音をちゃんと吹いている、

コードをちゃんと感じているのには感心しました。また拙作:Spring wind や If Ishould のメロディの引用も見事でした。

 二人にいえるのはどんな内容のソロをやるかも重要だけど、我々のやっている音楽はジャズと呼ばれ、元はといえばダンス音楽。

踊れる音楽だったということ。日本人には普段から踊るという習慣はないし、踊っても盆踊りのような手踊りが多かったので、腰を

左右に振るという動作は普段は無いよね?はしたないことにされてしまうだろう。だけどジャズもロックもクラシックも西洋から来たもの

なので、全身でリズムを取って欲しいと言うこと。

腰を使う動きが自然に出来るようになれば、音符のタイミングやアーティキュレイションも自然に良くなるはず。映像では二人とも

腰から下は不動状態なので、久保崎君や、後で出てくる歌手の稲里ひろみさんの全身を使うリズムの取り方を是非見て参考にしてみて下さい。

 あ、ごめんなさい。解っていますよ、そうだった、そんなことは言われなくたって、みんな家ではちゃんと出来ているんだよね?

やはり人前に出ると緊張してしまい体が硬直してしまうんだよね?(笑)これは慣れなので、ステージでも自分の家だと思うと良い

かもしれないよ。

2.Blue bossa 

井上 誠(as)くんは、音も良いし、いい感じで吹き始めたのだが、何を思ったのか良いところでやめたのはとても残念、吹ける人

なのにどうして止めてしまうのだろうか?やめないでくれ〜〜〜!!解らなくなったら、少し周りを聞いて解ったところから出てきた

らいいのだ。次回はあの3倍は吹いて下さい。

江尻 雅江(as)さんは、皆同意してくれると思うが、今回もっとも進境を感じさせられた人ではないだろうか?アドリブをし続ける

には、コード進行をイメージしてそれに合ったフレーズを思いだし、周りの音自分の出す音を聞きながら演奏していくのだが、

はっきりしたことは、彼女にはその才能がある。コードのどの音が美味しいのかを聞き分ける能力、音を組み立てる能力のある

人である。今後はジャズ的な音色、ピッチ、アーティキュレイションを磨いていく作業になるだろう。

また、目をつむって良い演奏さえすればよい・・・のではなく、ワンフレーズ毎にお客様に語りかけるように、お客様を見て、ウィンク

したって良いんだよ・・・と言うのを本当に実践したいたのには驚きました。魅力的でしたよ。

片岡健二師範代(ts)の音には最近驚いている。音、リズム感だけだったら文句なく一流の音なのだ。フレージングは、頭の中に

やりたいことが詰まっていて、激流となって出てくるので、もう少ししたら整理してわかりやすい形にしてくれることだろう。でも素晴らしい!

3.Danny boy

今回は、ダニーボーイを取り上げる人が3人、人気のある曲である。穂積 信道(fl)さんもリハーサルではひやりとしましたが、本番

ではしっかり譜割り通り吹いてくれました。私の教室に来る前に10年間クラシックの先生に学んでいたそうですが、ジャズ的な指導に

最初はカルチャーショックを受けたそうです。何しろ1種類しかなかったドレミファソラシドを何通りもやらされるのですから・・・(笑)。

移動読みは、こんな(難しい)ものは人間には出来るわけはないと思っていたそうです。最初の1年半は苦しくて苦しくてたまらなっ

かったとか(笑)。だけどある日移動読みが出来るようになり、知っている曲なら違うキーでも吹けるではありませんか?今回のダニー

ボーイもハ調のメロディをドレミファソラシドで暗記してそれをE♭のドレミで演奏しています。素晴らしいではないですか?最後の満

場の拍手を聞いて下さい。問題は正確な拍子感を育成して、ずれないで吹けるようになることです。

4.Fly me to the moon 西川 康子(as)さんの演奏は、きちんと書いてきてそれをきちんと演奏していた。面白いのが、稲里

ひろみさんの歌を聴きながら体でリズムを取っているのが解った。サックスを吹くときもそうやってリズムを取ると良いんだよ。家で

やってね?

5.Amazing Grace

 藤原 則子(fl)さんは、問い合わせはかなり以前にあったのだが一大決心をして入門した人、耳も音楽脳も良い素質を持っているの

でこれから伸びるだろう。

6.さくらさくら


久世 元治(ts)さんも、遠いところから参加有り難うございました。簡単な曲でも、きちんと拍子を数えて正確に吹くのは大変なこ

とです。自分の音だけではなく伴奏の音も良く聞くこと。この日の参加者も皆訓練して出来るようになったのです。やはり菊地道場

の生徒さんは音が良く太いと実感させられました。片岡健二師範代もサポート有り難うございました。

7.Fly me to the moon

 今度はテナーサックス熟年組のお二人でした。トニー中村(ts)さんは、いったん教室からは離れていたのだが、段位制が始まっ

たのを機に復帰した。お話を伺うと、週に3回以上5〜6時間は吹いているとのこと。その成果として、素晴らしく密度のあるスピード

感にあふれた音と演奏で感心しました。

 鈴木 泉(ts)さんは、通信を入れるともう5年目、昨年から心機一転呼吸法から見直し、音が急に良くなり、移動読みも前進してきて

いるひと。この日は2年前にも演奏したもう一つのフライミーのソロをやって、マンボナンバー5や二人でお茶をなどは受けていましたね?

本番ではどんな人も、聴衆を面前に極度に緊張(興奮)しているので、いつもより厚いリードを使った方がよいのと、リズムの乗り、

タンギングなどをもっとスピードを付けられるようになると、はっきりした印象になるでしょう。

8.Danny boy

稲津 邦夫(as)さんも長年通われています。最近は段位取得にも意欲を見せています。前回はベストドレッサー賞も取っています。

今回のダニーボーイでは、衣装のほかフェイクの部分を自分で考えて作ってきたのと、微妙な間を生かした最後のカデンツァに意

欲が感じられました。創作したソロはとても音楽的でした。またメロディの歌い方にも人生の年輪が感じられたような気がいたしました。

●セッション2

1.Bye Bye Blackbird

 穂積さんの音がとてもしっかりしてきたのを指摘する人は多かった。1コーラス目は完全にずれていたけど、ニコニコしながら再

チャレンジする態度は立派です。後半のテーマはしっかり吹けました。思うに、スィングとはマーチ(行進曲)とは乗りが違うので、

もっともっとリラックスして体を動かして良いんですよ。この曲の熊川 暢子師範代のソロは秀逸だった。粋だね?

2.Sweet Memories

 大西君が如何にこの曲を研究したのかをご紹介したい。私のライブでこの曲をやっているのを聞いて自分の演奏する機会に取

り入れたところ、If I should lose you では無反応だったお客さんが、急に反応したのに気がついたそうです。研究のために再度私

のライブに出向いてこの曲をリクエスト、録音し、それを採譜して研究するという熱の入れようでした。その甲斐あって歌心たっぷり

の演奏をしてくれました。

3.Speak Low

 この演奏は、アマチュァのレベルを超えていると思った方が多かったのではないでしょうか?卒業してもいつも参加してくれる

小野塚君には深く感謝しています。道場生にも大変な刺激になっていると確信します。遠藤君は有名な某放送局のプロデューサー、

演出家であり、番組名を出せば皆知っているような人で、また学生バンド界では有名な人。10年前から断続的にレッスンに来ていま

したが、最近又再開しています。あれだけ吹けるのに本人に言わせると、移動読みがまだ完全ではないと言うことでまだ勉強したい

そうです。勉強しようね?音感トレーニングメソッドも買ったことだし。(笑)

 演奏内容に関しては、遠藤君のスピード感のあるサウンドは、プロでもああいう感じを出せる人は少ないと思うし、コードの理解、

音楽的なフレージングでは、プロでも小野塚君のように吹ける人はそんなに多くないと思います。

ただ今回のSpeak Low に関しては、A,B,A 形式のA 部分は良しいとして、B 部分のコード進行について二人ともあまり理解していない

感じがしましたので参考に補足しておきます。

Gm7/B♭m7/E♭7/F・・・という進行は、要するにB♭/B♭m/F と言う進行であり、イパネマのサビと同じで、サブドミナントマイナーモー

ションなのです。音感トレーニングメソッドの第1章にも詳しく、また中級教材11月にも詳説しましたので、確認してみて下さい。D→D♭→C

というガイドトーンラインが使えたらもっとスピークロウな感じが出るでしょう。お試しあれ。

 将来的には、遠藤君は指癖的なフレーズの段階を卒業して、フレーズに前後のつながりや音楽の意味があってストーリーを紡ぐ

様なソロを目指して欲しいし、それができる人だと確信しています。

小野塚君は頭の中の中にある、やりたい素晴らしいことをもっとやり切れるよう、もっと沢山息を吸いフレーズを長く、タンギングをはっ

きり吹くようにしたら良くなるだろう。二人が参加するビッグバンドが世界的に有名なバンドリーダー作曲家ピアニストである穐吉敏子

さんと共演したのを中野ゼロホールで拝見しましたが、見ていてとても誇りに思いました。

4.If I should lose you

アルトでもいつも注目を集めている宮沢君は最近テナーサックスも始めました。良く歌う音色はそのままでまたテナーもうまくなって

しまうのではと期待しています。ビブラートが、往年のテナーサックスの大スターベンウェブスターやその時代の人たちを彷彿とさせる

ので、彼の前世は、アメリカで活躍していたジャズミュージシャンかも知れない等と想像して楽しんでいます笑)。
トニー中村さんは練習の甲斐あってサウンドは最高でしたが、残念、ソロがずれていました。ああいう場合は、引っかけのフレーズレー

スは無視して、ダブルバーから吹き出せば合うのです。でもそれをものともしないでちゃんとテーマを吹いてくれた宮沢君は立派でした


5.Misty

稲津さんは、美しい音で、1コーラス目はセーフ、アドリブから怪しくなって、後テーマは??最後まで美しく吹ききってくれた・・・・

様に見えますが、それはピアノの外山安樹子さんのお陰です。本当に彼女に感謝して下さいね?我孫子市の方角に足を向けて寝

てはいけませんよ(笑)。

 演奏には、自分が何をやっているかだけではなく、伴奏が今どの音を弾いているのかが解る能力が必要です。主催者側としては、

ずれたからと言って、晴れの舞台である発表会の生徒さんの演奏を止めたりしたくはありません。だから見失っても迷子になっても、

自力で立ち直って欲しいのですが・・・、まず、ずれたのに気がついていましたか?

 ジャズの演奏は、ソロイストに伴奏が付けるのではないのです。伴奏にうまく乗って吹かなくてはいけないのです。まずちゃんと

合っているのか、ずれているのかを聴くこと、気がついたら、吹くのをやめて聴くことです。これが客席で正しいメロディを一緒に歌っ

ているのに、やめてくれないんだな・・・(苦笑)最後のメロディで外山さんが数拍待ってくれたので最後はハッピーエンドになりました。

聞いていた人たちの間では、外山さんの機転の素晴らしさに絶賛が集まっておりました。

でも思い起こすと、彼は、昔はB♭メジャースケールを吹いて下さいというと、譜面台にアンチョコ(カンニングペーパー)を置いて、

シ、ミがフラットだ、と確認して吹いていた稲津さん(^_^;)、その数年後B♭メジャースケールは吹けるようになり、では、そのスケール

を2番目の音から吹いて下さいというと、B♭からしか練習していないので、B♭からでないと吹けません・・・には、絶句してどう返答

するか僕はしばらく考えましたよ(笑)。その稲津さんが、いまやスローバラッドを朗々と吹いてくれるのですから大したものです。

6.Amazing Grace

久世さんも太い音で最後まで吹ききってくれました。
 
7.All of me

江尻 雅江(as)さんは、ブルーボッサでも言いましたが、凄い伸び盛りの人、楽想が素晴らしい。久保崎泰隆君は、色々な曲でまず

コード、スケール通りに吹けるようにやっているところだが、それは出来てきたので、全体としてどういう絵が描けるかと言うことをや

るのが視界に入ってきたところだろう。荒尾茂之君は初級1級までは取得、コードは解るところまでは来たので、今度はジャズフレー

ズを沢山仕込んで欲しい。ソニーロリンズや色々な人の有名ソロをそっくりに暗記して吹くのが良いレベルまで来ている。稲里ひろみ

さんもスィング感あふれる歌唱で花を添えてくれました。有り難うございました。私のソロも歌伴の参考にしてくれればと思います。

なおビデオは、取れていなかったので、音と静止画で構成してみました。

●セッション3

1.I hear a rhapsody

 この演奏のケンゾー君も良かったです。ちゃんとソロがストーリーになっておりました。アィデア満載でしたが、本人によると準備したこと

の半分くらいしかできなかったとのこと。練習法がユニークなので皆さんにもご紹介したいと思います。

 まず、コード、スケールを確認して練習の後、「My Spanish key」の CD の私の演奏と何回も一緒に吹いて自分なりのアドリブを探求

したそうです。「CD と一緒にやっていると、色々なアィデアがどんどん湧いてくるものですね?」という言葉が印象的で、何よりCD と

一緒にやるという意欲が素晴らしい。

2.Waltz for Debby

藤原 則子(fl)さんもこの難しい曲をよく吹ききりました。舞台慣れ?舞台度胸があるね?小野塚 豊くんのアマチュァとは思えない

ソロも素晴らしいし、道場卒業生として誇りに思っています。

3.Work Song 

この曲における、楽しい宮沢 長揚君のソロはこのセッションでも白眉でしょう。アートブレイキーとジャズメッセンジャーズのモーニン

、ミルトジャクソンのブルース、バグスグルーブのテーマなどが盛り込まれ、ジャズに対する愛情、教養が感じられ、またアドリブ自体も、

ブルージーな節回しが聴かれ、皆さんにも参考にして欲しいソロです。ダイジェストビデオにも初っぱなに入れました。時間の関係で

熊川暢子師範代(as)の演奏が聴けなかったのが、とてもとても残念であった。

4.Georgia on my mind

 トニー中村(ts)さんの締まりがあって密度の濃い音色で良く歌うジョージアを堪能しました。この曲は、アメリカの西部を思わせる

土臭い味わいがあって、中村さんの乾いたしかも味のあるサウンドに似合っていました。また、ジーンズと靴とジャケットの着こなし

が素敵で、西部劇に出てくる粋な親父と言った雰囲気を醸し出しており、ビデオをを見ていても、西部の酒場にいるような錯覚に

陥ります。片岡健二(ts)のソロも、音がまず素晴らしいのと、三倍テンくらいに乗っている(倍テンポのさらに倍)32分音符が聞こえ

ました。スピード感が素晴らしい。

5.The Song Is You

 いつも意欲的な大西君です。音色も良い、フレーズも練りに練った大変時間を掛けて作り上げたものを発表して素晴らしい。今後更

に上を目指すなら、後は実際のリズムセクションと共演の機会を増やして、たっぷりリズムに乗ることを学んで欲しい。見違えるように

良くなることだろう。ビデオでは私菊地の演奏は音だけである。あれだけ人が居たのにビデオカメラを頼むのを忘れて居た(笑)のであ

るが、ときおり登場する手で、左手を上げてサックスを吹く癖があるのが解った(笑)。また大西君、真剣なのは解るけど、自分が吹い

ていないときニコニコしても良いんだよ(笑)。

6.Danny boy  

井上君はこの曲は存分に人生の酸いも甘いもかみ分けた大人の味わいの音で吹いてくれました。素敵でした。ビリースバウンスはお

祭り騒ぎなのでコメントは省略します。

また次回は7月頃の予定、今度は参加できなかった方も是非参加お待ちしております。





過去のセッションの記録はこちらでご覧になれます。

ジャズ,サックス,フルート,アーティスト,ライブ,レッスン,cd,レコード最終更新日2014/10/10